盲聾のS・Mさんのパソコンサポート


 萩の会では、2001年12月から盲聾のS・Mさんのパソコンサポートを行ってきました。
 残念ながら2002年11月に、S・Mさんは交通事故のため、お亡くなりになってしまいましたが、私たちにとっても大変貴重な経験をさせて頂きました。
 今後の活動にも役立てていければ、また、このページを読んでくださった方に何かご参考になればと思い、2001年12月からのサポートの状況をまとめてみました。

 S・Mさんは生れつき聾で、あとから盲となった方で、手話の方がわかりやすい様でした。話す言葉が明瞭ではなく、手書き文字は書けますが、線が重なったりして読みにくい事がありました。 パソコンを使うまでは、触手話、点字の他、メモ書き、手のひらに文字を書くという方法で意思を伝えていました。
 先生はKさんと言う全盲の方が勤めてくださり、県の触読手話通訳者を派遣していただき、私達は、画面に出ている文字が変ではないか?墨字のプリントはどうか?等、目でみる必要のあるところをお手伝いしました。

  パソコンはNEC9821。
  墨字プリンタはキャノンBJC465J。
  点字ディスプレイはALVA(アルバ)。
  エディタはVEGA(べガ)。
  メーラーはwmail(ダブルメール)。

 DOSでインターネットやメールが出来るということを、私達も知りませんでしたが、 Windowsでなければと思っている方が多いのではないでしょうか?
 Kさんのホームページに詳しく書かれていますが、 盲聾の方が点字ディスプレイだけを頼りに(画面も見られず、音声も聞こえず) パソコンを自分で操作するには、Windowsでは不可能だと思います。
 VEGAはEXTRA(エクストラ)という点字翻訳ソフトで、入力した漢字混じり文を自動的に 点字変換して、点字ディスプレイに表示したり、点字プリンタに出力したりしてくれます。
 墨字プリンタは、作成した文書を印刷してFAXするのに使います。
 パソコンを教える際、まず、インターネットのホームページで興味のある事を読めるようにすると、パソコンの利便性が分かってもらえて、覚えたいという意欲がより湧いて良いようです。
  時間を気にせずインターネットやメールをやる為、ADSLの申込みや設定もかかせません。


  2001年12月 DOSパソコン購入。最初は6点入力でした。キーボードで文字の入力や漢字変換の練習をしながら、作成した文書を保存したり、墨字印刷してFAXする と言う事をやりました。以前から、FAXは利用していましたが(受信した物はヘルパーさんに読んで伝えてもらい、手書きで自分からも送信)、プリンターによる印刷された文字になり、手書きと違いきれいで読みやすくなりました。

 入力は使いなれた点字タイプライターとはタッチが全然違うので、強くキーを押し続けたり、隣りのキーまで押してしまったりと、慣れるまでは、打っては訂正する事の繰り返しでした。慣れるに従い国語辞書や英和辞書を引いたり、簡単な計算をしました。

 2002年3月 ADSLに繋げました。まず本人の希望に添って、インターネットでニュースと天気予報を読めるようにしました。そして、検索エンジンで知りたい情報を探して読むことが出来る様になると「興味のある情報が、毎日読めるので楽しい」と言っていました。

 4月 入力も、ある程度慣れて、メールの作成と送信が出来る様になりました。 メールが使いこなせれば、どんなに便利か、楽しいか! アドレスを持っている人となら、通訳なしで自由に会話が出来るようなものです。盲聾の人同士でも、遠隔地の人とでも瞬時に連絡が取れる訳ですから、健常者にとってのそれよりも、もっと価値のある物を手に入れたと言って良いと思います。
 それにしても、メールを送信している姿を見た時は、本当に嬉しかったです。ボランティアをしていなければ、こういう喜びは経験できないと思いました。

 5月 フルキー入力に挑戦することになりました。どうしても6点入力ではメールアドレスやURLを入れるのに、アルファベットや記号を使いますし、外字符を打つ必要があります。半角全角に切り替えもあるし、漢字変換に戻るのに閉じ記号を打たないと変になってしまうなど、難点がありました。フルキーで出来れば、将来的に絶対良いので、フルキー入力の利点を説明した結果、自らフルキー入力に変更の決断をし、即、実行しました。
 ローマ字を知らない人がフルキーをマスターするのは、大変な練習が必要でしょうが、S・Mさんは、以前ワープロでローマ字入力をやっていたと言う事で、少しの練習で打てる様になりました。

 7月 電話は、留守電のメッセージをヘルパーさんがいる時に伝えてもらうしかありませんが、携帯メールをやっている人とならメール交換ができますから、知り合いとの連絡にも使うようになりました。

 12月から7月までは、平均して週1回勉強してきましたが、9月からは月1回となりました。

 9月 これまでは、A4用紙に印字していたのですが、ハガキに印刷する事が出来ました。
 ホームページを開いたり、治療の予約もメールで受け付けられる様になれば、便利だし、今後は、そういうことにチャレンジして行きたいという希望を持つようになりました。
 また点字を知らない盲聾の人に、点字を教えてあげたいと言っていました。
これも点字をマスターしていたお蔭で、インターネットもメールも出来る様になったからだと思います。

 以上がS・Mさんサポートの概略ですが、いくらインターネットやメールが使える世の中でも、盲聾の人には、点字を知らなければ、その恩恵は受けられません。点字を知らない盲聾の人には是非、点字を勉強してもらいたいと思います。聾の方で視力も衰える傾向の方には是非お勧めします。(笹)


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